しゅくだいやる気ペン開発秘話|ゴホウビ機能が生まれるまで
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しゅくだいやる気ペン開発秘話|ゴホウビ機能が生まれるまで

【コクヨ】しゅくだいやる気ラボ

「【やる気のコツ】ゴホウビ活用術」という記事でご紹介した、しゅくだいやる気ペンアプリの“ゴホウビ”機能。これは、しゅくだいやる気ペンを使うことでたまった“やる気”をアプリに注ぐことで進められる[スゴロク]に組み込まれている機能です。具体的には、スゴロクの途中と最後に設けたゴホウビポイントに到達したら、<あらかじめ各家庭で決めていたゴホウビがもらえる>という仕組みになります。

アプリのゴホウビ設定画面とスゴロク

多くのユーザーがこのゴホウビ機能を活用しているのですが、

ゴホウビ機能は、一体なぜ生まれたのか?
ゴホウビ機能は、親子コミュニケーションにどんな効果があるのか?

と、疑問に思うことはありませんか?今回は、やる気ペンチームがゴホウビ機能に込めた「体験デザイン」試行錯誤の物語をご紹介します。今回の内容は、しゅくだいやる気ペンチームリーダの中井さん、開発担当のヤマガタさんに聞いたお話を元に記事を作成しています!

「飽きる」という声から始まった試行錯誤

開発当初のしゅくだいやる気ペンは、学習後にアプリ内でやる気の木に水やりをする「やる気を注ぐ」という機能にユーザーエクスペリエンスの軸を置いていました。その後、開発過程でユーザーの声を聞くために『大人会議』『子ども会議』を行ったところ、主に大人(保護者の立場の方)から聞こえてきたのが「この機能だけでは、すぐに子どもが飽きてしまう」という言葉。そこから、「飽きさせない」ための体験デザインの試行錯誤が始まりました。この「飽きさせない」体験デザインの中心となったのは、学習後の達成感を最大化させるしくみづくりです。

達成感につながる“やる気パワー”の見える化とは

学習によってためたやる気パワーを、どのように見える化すべきか?開発当初は、一日ごとにやる気パワーを棒グラフで表示するインターフェイスを用いたユ―ザー検証を行っていました。

検証時の「やる気の見える化」インターフェイス案

しかし、棒グラフ状にドーナツスタンプを積み上げる方法では子どもの達成感を高めたり、自発的な行動を引き出す効果は見られませんでした。棒グラフでは、日々のやる気パワーの変動(推移)が分かりやすいというメリットがある一方で、“他の日付との比較”という視点に陥ってしまうことも良くなかったのかもしれません。

そこで、棒グラフからスゴロクにインターフェイスを変え、再検証に挑みました。

学習時間に応じてスゴロクのマスを進める方法で再検証

スゴロクでの再検証が高めた達成感

結論から言うと、この「スゴロク」形式が子どもの達成感を一気に高めるブースターになりました。スゴロクのメリットとしては、

  • 比較ではなく、積み重ねである

  • 明確なゴールがある

の2つです。これまでの学習を比較するのではなく積み重ねることで、「これだけがんばった」という達成感につながります。また、明確なゴールがあることで「あともう少しがんばろう」という気持ちが生まれました。

再検証中の様子

そして、“ゴホウビ”機能の原型もこの再検証の際に生まれました。スゴロクでの再検証中、とある家庭では親子間で自然と「ゴールしたらどんなゴホウビが欲しいか?」という会話が交わされました。その会話で、親は「うちの子は、どんなゴホウビがやる気につながるのか?」を改めて知ることができたそうです。

この“ゴホウビ”は別の表現に置き換えると「子どもにとって特定の(この場合は学習への)行動を増やすもの」であり、心理学などの専門分野では「強化子(きょうかし)」という用語で呼ばれています。

“ゴホウビ”から始まる学び、その先に

ユーザー検証において、“ゴホウビ”という機能が子どものやる気付けに効果があったのは確かでした。一方で、“ゴホウビ”をアプリの機能に設定することは、果たして子どもにとって適切なのだろうか?という疑問も否定できません。しゅくだいやる気ペンチームでも、“ゴホウビ”機能の是非については議論が交わされました。

調べていく中で、応用行動分析学において「ゴホウビ(報奨)」のような外発的な動機付けは、一定の効果が認められていることが分かりました。ただし、外発的な動機付けはあくまで最初のきっかけづくりであり、だんだんと内発的な動機付けに移行していく必要があります。

では、内発的な動機付けとは一体何でしょうか。内発的な動機とは、一般的には「自身の内部から生じる欲求」とされています。これを学習に置き換えると、「もっと知りたい」「学ぶことが楽しい」という欲求です。

そこで、スゴロクでの再検証に話を戻します。スゴロクに“ゴホウビ”機能を独自で追加したユーザーは、検証にあたり苦手な日記を毎日書くことを決めました。最初の数日は日記を開くことが苦痛で、数文字書くことがやっと。最初の数日は、ゴールに設定した“ゴホウビ”のために何とか続けている状態でした。

その後、徐々に日記を書くことに慣れてきて文字数が増えると、「何を書くか」というところへ意識が向かうようになりました。親には「日記を書くために、どこかへ連れていってほしい」と伝えるようになりました。日記に記入済みのページが増えるにつれ、それこそスゴロクと同じですが、「これだけがんばった」という自信が大きくなっていったのだと思います。日記を学校に持って行き、先生からほめてもらったことも自信を深めた要因でしょう。

1週間の検証期間が終わり、スゴロクで念願のゴールを迎えた時。1週間前まで日記を書くことが苦手だったその子からは、「日記を書くことが楽しい」「人に伝えることが楽しい」という言葉を聞くことができました。

この再検証から、しゅくだいやる気ペンチームが学んだことは多くありました。まず、外発的な動機付けから始める。毎日のがんばりを見える化し、自分自身で実感するとともに、親からほめてもらうことで自信を深める。そうすることで、その行動のプロセスや結果から子どもは「楽しさ」や「面白さ」を自ずと見つけることができるのです。

このサイクルを回すために、最初のきっかけづくりに“ゴホウビ”の役割は必要であると感じたしゅくだいやる気ペンチームは、アプリへの“ゴホウビ”機能実装を決めました。以上が、“ゴホウビ”機能が生まれるまでのプロセスです。

一人ひとりの強化子はちがう、だからこそ親子コミュニケーションが必要

発売から約2年が経過し、しゅくだいやる気ペンもたくさんの方に使っていただけるようになりました。メルマガアンケート等を通じて、「ゴホウビ」にまつわるエピソードもたくさんお寄せいただいています。そこで感じるのが、「子どもの数だけゴホウビがあるんだな」ということ。勿論多くのユーザーに共通するゴホウビもありますが、個性豊かなゴホウビも同じくらい届いています。

「やる気の動機付け」となる強化子は、子ども一人ひとり異なります。対話を通じて“ゴホウビ”を設定することは、子どものやる気につながる強化子が何なのかを知る手がかりになります。また、強化子は子どもの成長に伴い変化していくものです。だからこそ日々の“ゴホウビ”設定を、その時その時の「やる気」につながる強化子とは何か?を確認するという機会として捉え、豊かな親子関係づくりに役立ててもらうことができれば、うれしい限りです。

ゴホウビに関する記事のご紹介

最後に、冒頭でもご紹介した「【やる気のコツ】ゴホウビ活用術」という記事をご紹介します。こちら、しゅくだいやる気ペンをお使いいただいているユーザーのみなさまに向けたお役立ち情報です。是非ご活用ください!

「【やる気のコツ】ゴホウビ活用術」を読む
https://kakihome.jp/n/n05da7af9ac11

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やる気パワーをありがとうございます◎
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【“親子の学び”応援メディア】教育専門家の方々へのインタビュー、しゅくだいやる気ペン活用術やIoTデータを使った調査報告など、家庭学習を通じたより豊かで愛情あふれる親子関係づくりをサポートする記事をお送りします。